はじめてこの展示空間にお邪魔した時、電気もなく真っ暗で何も見えなかったのですが、案内の方が窓を開けてくださったらしく、突然、高い天窓のような小さな窓から、一条の光が差し込んできました。私はその光によって、これまで見えなくて彷徨っていた自分をようやく認識したような気がしました。

 何かに向かって一所懸命であればあるほど、自分で考え、自分の力で生きているような錯覚を起こしやすいですが、何かの出来事や相手との出逢いがあってはじめて、自分という存在を認識出来る気がします。そして、限りなきご縁の中で生かして頂いていると感じます。

 それはまるで「月」そのもの。照らされ方によってもまるで異なる存在となります。

 小さな窓から刻一刻と陽の光が差し込み、時間と共に動き、変化します。誰も来ない夜だって、窓からは宇宙の闇の「気」がたえず差し込んでいます。

 止めることができない時間と共にこの光と自分が戯れる・・・そんな一瞬を感じて頂けたらと願っています。


2007年10月26日  石 田 智 子


 
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